『膨大な量の課題』で生じる弊害

潮陵高校のテスト週間も終わり、塾は日常にもどりました。

とはいっても、センター試験までは残り100日・公立高校入試まではのこり150日を切り、3年生の講義の緊張感は変わりません。

 

さて、今日はタイトルにあるように、塾や学校から出される『課題・宿題』について、お話したいと思います。

 

これまで家庭教師や塾講師をするなかで、色々なタイプの生徒に出会いましたが、その中で多くいたのが、膨大な量の課題を処理することに一生懸命な生徒です。

結論から話しますと、そのような癖の付いている生徒達は、多くの場合問題に向きあう時の姿勢が『雑』になってしまっています。そのため、じっくり考える時間を持ったり、習ったことを理解し使いこなそうとする意識が低かったり、宿題がないと何をしたらいいか分からないという傾向があり、まずその問題に向き合うときの姿勢を修正することに苦労します。

限られた時間の中で、その時間を『学習したことをしっかり理解し使えるようになるための復習』に使うのか、『復習は早々に切り上げ、次の日の課題に追われる』ことに使うのか…。

前者と後者では、学力に大きな差が現れるだけではなく、生徒が勉強するときに抱えるストレスや達成感も格段に違います。予習課題が多いようでは、そもそも宿題を解くことに時間がかかりますし、塾で習った内容を復習したくても、次にしなければいけない課題を抱えているので、落ち着いて『自分ができなかった問題の復習』に向き合うことが出来ません。勿論、復習課題が多くても、他人から与えられたものでは自主的に確認しているわけではありませんから、結局課題は『作業』として処理される場合が殆どです。生徒達にはそのような意識までないかも知れませんが、強制的に期限をつけて膨大なものをやろうとすれば、『終わらせなければならない』というプレッシャーから、せっかくの勉強時間とそれに向き合っている問題を『雑』に『処理』するということになってしまいがちなのです。

しかし、生徒の成長を見守る側(保護者)も、生徒の学力向上を目指す指導者側も、宿題・課題を出し生徒の学習量を強制力を持ったものでコントロールすることの方が、自主性を重んじる復習重視の学習よりも指導は楽ですし、『勉強している』『やらせている』という安心感も得られます。

そのため私が知る限り多くの学習塾では宿題を大量に出し、生徒や保護者も『塾=たくさんの宿題が出る所』という認識でいるようです。

 

では当塾はというと、宿題は100%復習にあててもらっています。予習でまだ講義でやっていない問題を解かせることは全くありません。ごくごく稀に、事前に解いてもらう場合もありますが、高校生(特に受験生で時間がない場合)に対してですし、一年にほんの数回程度です。

ここで注意ですが、『勉強時間が少なくてすむ楽な塾』ということを言いたいわけではありませんよ(笑)

大切なのは、勉強時間を100%復習にあてると言うことです。

塾の講義で習ったことを必ず出来るようにする。もし復習する中で分からないことがあったら、必ず質問し再度復習する。

塾生にはこの学習スタイルを徹底するよう指導しています。

勿論、これまで家庭学習や自主学習をしていなかった生徒、とりわけ中学生は『復習しろと言われても何をしたらいいか分からない』という生徒もいるので、そのような生徒に対してはその日講義した問題を宿題として再度解くように指導したり、小テストを実施して強制的に覚えさせたりということをしています。

しかし、少なくとも中3までには、復習スタイルを確立し自分の学習時間の確保と自分で『できているかどうか』をチェックし、しっかりと頭に入れるということを出来るようになるように指導しています。

 

宿題がないことで、他の塾に通っていて当塾に入塾したばかりの生徒は、最初のうち学習量が減ったり『楽になった』と喜ぶ生徒もいますが、だんだんとこの形式に慣れ、自分で勉強できるようになります。

自分でやらなければいけない緊張感があるので、自然に大量に課題をこなしていた頃よりも質がよく勉強量も増えると言う結果になります。

このことが出来るようになっている生徒は、全員が成績を向上させてくれています。

大切なのは、自分で課題を持ち、自分でやろうとすること。

やり方が分からなければ、生徒自身が『ここを出来るようにするためには、どういう勉強が必要か』を質問し、生徒に合ったアドバイスをしていますし、きちんと復習できているかどうかは講義をしていれば手に取るように分かりますので、勉強量や学習方法について私から確認することもあります。

 

課題をするための時間ではなく、『できるようになるための時間』

これを意識することで、勉強時間はより充実し、達成感を持って学習に取り組むことができるようになると考えています。